
2026年8月6日(木)、無料オンラインセミナー**「当社の2つのサイトを移行して分かったこと|BtoB WebサイトをAI接続環境へ」**を開催しました。
当社は2026年7月、自社で運営する2つのサイト——コーポレートサイト(etika.life)とZoho CRM導入支援サイト(crm-support-center.com)——を、STUDIO・Webflowから、AIエージェントが直接管理・更新できる「AI接続環境」へ移行しました。本セミナーでは、なぜそこまでしたのか、実際にやってみてどうだったのかを、うまくいったことも、つまずいたことも含めて約60分でお話ししました。本記事ではその内容をレポートします。
開催概要
- セミナー名: 当社の2つのサイトを移行して分かったこと|BtoB WebサイトをAI接続環境へ
- 日時: 2026年8月6日(木)13:00〜14:00
- 形式: オンライン・参加費無料(事前登録制)
- 主催・登壇: 株式会社etika 代表取締役 宮村 佳祐
背景:買い手は、営業に会う前に候補を絞り終えている
セミナー冒頭では、売上を**「パイプライン量(引き合いの数)× 受注率 × LTV(1社あたりの継続売上)」**の掛け算で捉え、今回はいちばん左の「パイプライン量」を増やすための話である、と位置づけをお伝えしました。

そのうえで前提として共有したのが、買い手の情報収集の変化です。
- BtoBの買い手の58%が、購買にあたってChatGPTを利用している(HubSpot調査。一般消費者よりも高い割合です)
- 63.5%は、Webと AIで候補選定をほぼ終えてから営業に接触してくる
- 検索1位のクリック率は約6%から1.8%へ低下。「SEO対策」という言葉自体の意味が薄れつつある(ただし、機械に読まれるという点でAIへの備えと打ち手は似通います)
一方で、当社にも支援先にも共通する実感値として、**「表示回数は減っているのに、引き合いは減っていない」**という現象があります。

買い手が情報収集をやめたのではなく、情報収集の「場」が検索からAIへ移っただけ——だからこそ、AIが回答の中で挙げる3〜5社程度の候補に入れるかどうかが、営業が動く前に勝負を分けるようになっています。
なお、BtoBは「福岡 ○○」のような地域系クエリが多く、ChatGPTは地域系の質問に対して地図を提示する割合が高くなっています。ChatGPTが表示する地図はGoogleマップではなく、Bingの地図情報(Bing Places)を参照しているとみられるため、Webサイトと合わせてBing Placesの登録情報の整備も必要になる、という点も補足しました。
支援の現場で回していた月次サイクルと、自社の課題
当社は、下関市の物流企業・日新運輸工業様(支援歴3年以上)や、北九州市の電気制御業・有限会社ICS SAKABE様のWeb集客をご支援しています。「博多港からアメリカへ食品輸出する際の通関代行」「福岡で産業用ロボットの特別教育」といった具体的な質問に対して、検索やChatGPTの回答で各社のページが案内されるかを実測しながら、次のサイクルを月次で回してきました。
- 狙うキーワード・AIへの問いかけを決める
- 記事を書く・既存ページを見直す
- 公開する
- GoogleアナリティクスやSearch Consoleで流入の変化を検証する
日新運輸工業様では、Webサイトからの引き合いが月に数十件獲得できる状態になっています。
ただ、正直にお伝えしたのは自社の課題です。お客様のご支援はお仕事としてサイクルが回る一方、**自社サイトは「やりたい改修・追加が分かっているのに、リソースが足りずできない」**状態が続いていました。これが移行プロジェクトの出発点です。
AIに拾われる条件:「入れ物」と「中身」のチェックリスト
セミナーの中心テーマのひとつが、AIに情報を拾ってもらうための条件を「入れ物」と「中身」に分けて点検する、という考え方です。

入れ物(サイトの土台)
- サーバーやドメイン事業者のデフォルト設定で、AIクローラーが遮断されていないか(当社自身、意図せず遮断されていてトラフィックが激減した経験があります)
- noindexなど、そもそも読み込まれない設定になっていないか
- 表や数字が画像化されていないか(検索もAIも、基本はテキストを読みます)
- 表示速度は十分か、構造化データはあるか
中身(コンテンツ)
- 費用・比較・選び方など、課題ベースの問いに答えるページがあるか
- 「豊富な実績と高い技術力」のような抽象表現ではなく、自社にしかない一次情報(どんな業態のお客様をどう支援し、どうなったか)を事実ベースで載せているか
- 記事の書き手が誰かを示す執筆者プロフィールがあるか
- 対応エリアを「○○県」で終わらせず、市区町村レベルまで分解して書いているか
運用
- 先月どこを直したか。直してから公開までのリードタイムは長くないか
ここまでは一般論としても言える話ですが、「これを全部、継続的にやるのが大変ですよね」というのが実感でした。そこで、この整備をAIに手伝ってもらう方向へ舵を切りました。
移行の実際:分析アプリから、サイトそのもののAI接続へ
最初に取り組んだのは移行ではなく、自社用の分析アプリケーションの構築です。Googleアナリティクス・Search Console・BingからAPI経由でデータを取得し、既存サイトの内容と突き合わせて、打ち手を優先順位つきで整理し、記事案まで生成する——ここまでAIでできることが分かった時点で、「ならばサイト自体をAIと直結して運用しよう」と決めました。
移行の規模感は次のとおりです。
- コーポレートサイト(etika.life): 元は20〜30ページ。コンテンツを大幅に追加するリニューアルを含めて約3日間で移行
- Zoho導入支援サイト(crm-support-center.com): 記事161本・222ページの規模を、3〜4日間・他業務と並行しながら移行

移行後のブログ運用は、支援先との議事録や、ご支援時に注意しているポイントを音声で入力し、それをネタとしてAIが記事化。できあがった記事に音声でフィードバックして、そのまま公開する——という流れです。よくある質問(FAQ)や執筆者プロフィールといった、AIが参照しやすい記事フォーマットもあらかじめ決めてあります。共催セミナーの録音を、当日〜翌日にはレポート記事として公開できた例もお見せしました。
一括更新の威力
移行して特に効果を感じている例として、バナーの一括差し替えをご紹介しました。当社サイトのほぼ全ページに入っている無料相談バナーの文言を、各記事の文脈に合わせて全200ページ分差し替え、さらに読者の関心が高まった記事中盤にもバナーを差し込む——この作業が、AIへの指示2つ・5〜10分で完了します。従来の環境なら、200ページ分の文言を考えて1ページずつ直す作業でした。古くなった補助金情報や価格情報の更新も、同じ要領で簡単になっています。
コスト面では、Zoho導入支援サイトのサーバー費用が月2〜300円、コーポレートサイトは無料枠で運用できるようになりました。
移行して分かったこと:良かった点と、つまずいた点
良かった点
- AIクローラーが遮断されていた状態に早く気づけた(これが一番大きな発見でした)
- サイトの更新履歴・差分がすべて残るため、「どの打ち手が何につながったか」をAIが分析できる状態になった
- 人は一次情報の提供(こういう受注を取りたい、こういう事例がある、を伝えること)に集中できるようになった
- 検索・アクセス解析・CRMが裏側でつながり、流入→問い合わせ→受注のストーリーを一気通貫で追えるようになった

つまずいた点・注意点
- リニューアル後に、旧URLからの転送漏れや画像の表示漏れがいくつか発生した(複数回のチェックで回収しました)
- 計測タグが二重になっていて、数字が実態の2倍になっていた時期があった(前後比較の落とし穴です)
- 画像をドラッグ&ドロップで配置するような手軽さは失われた(現在はすべてプロンプトでの操作です)

そして重要な点として、流入がすぐ増えるわけではないことも率直にお伝えしました。移行から約1ヶ月半時点の流入は「徐々に」増えている段階です。検索エンジンやAIクローラーの学習期間、サイトの権威性に依存するため、即効性を期待する施策ではありません。運用工数もゼロにはなりません。それでも、中長期で自社の伝えたいことをAIに理解してもらい、見込み客を連れてきてもらい、それが受注になったかまで追跡できる状態を作れる——というのが、実践してみての実感です。
繰り返しお伝えしたこと:受注まで「一気通貫」で追う
セミナーを通じて繰り返し強調したのが、流入や問い合わせの数だけで評価しない、という点です。
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- 問い合わせフォームには、どのページから来たのか・ファーストタッチは何かが自動で付与される設計にする
- 問い合わせには必ず有効・無効の判定を行う(営業スパムを除外し、有効なお客様がどのページから来たかを逆算できるようにする)
- そのうえで、どのページが受注に寄与しているかを紐付きで分析し、次のコンテンツに反映する
Webサイトを「会社紹介」ではなく**「見込み客獲得装置」**として位置づけ、受注への寄与まで含めて育てていく。この考え方は、AI接続環境に移行するかどうかにかかわらず有効です。
質疑応答(抜粋)
当日は多くのご質問をいただきました。一部をご紹介します。
Q. 分析をお願いした場合、サイトのデザインや項目も相談できますか?
デザインの実制作は当社のスキルセット外ですが、デザイナーとの連携やAIデザインツールの活用を含めて伴走できます。その場合も、既存サイトの分析と「ユーザーがどんな検索語・AIへの問いかけで探すか」を起点にご支援します。
Q. なぜBtoBに限定しているのですか?
営業の方が介在する商材を対象としているためです。Web集客と営業プロセスの最適化の両面をつなぐことが当社の強みなので、不動産・住宅のようなBtoCの高額商材もご支援の範囲です。
Q. 無料相談フォームへの営業スパムが多くて困っています。対応できますか?
フォーム入力段階での自動ブロックは検討しましたが、精度の問題から見送っています。おすすめしているのは、問い合わせ後の有効・無効判定を運用工数として織り込むことです。これだけでも、有効なお客様の流入元を逆算できるようになり、分析の質が大きく変わります。
Q. サーバーは何を使うのですか?
AI接続を決めた場合はCloudflareの静的環境が理想です。ただ、すぐには移行できないケースも多いため、既存サーバーのまま分析と打ち手抽出の伴走から始め、タイミングを見て移行をおすすめする進め方も可能です。
Q. AIクローラーの遮断をオフにするデメリットはありませんか?
集客の観点では、現時点でほぼないと考えています。公開してはいけない情報はそもそもサイトに載せていないはずで、アクセス負荷も問題になる水準ではありません。注意点は、画面上の設定とサイト側のコードの両方を確認する必要があることです。
まとめ
本セミナーでお伝えしたのは、次の3点です。
- 買い手の情報収集は検索からAIへ移りつつあり、営業が会う前にAIの回答の中で候補が絞られ始めている
- AIに拾われるには「入れ物」と「中身」の両方の整備が必要で、その整備自体をAIに手伝わせると継続できる
- 流入・問い合わせの増加で終わらせず、受注まで一気通貫で追う設計が重要
AIがWebサイトを読みに来る時代なら、こちら側もAIでサイトを管理し、人は一次情報の提供に集中する——「AI対AI」で適切に情報が伝わる状態を作ることが、当社が2サイトの移行を通じて得た結論です。
現在地の確認は、無料診断から
セミナーでもご案内したBtoB Webサイト AI対応無料診断では、御社サイトの「入れ物」と「中身」の採点に加えて、実際の検索キーワードやAIへの質問(地域キーワードを含む)で御社が挙がるかどうかを当社が実測し、レポートとしてお渡しします。リサーチ費用は当社が負担する、正真正銘の無料診断です。
まずは現在地の確認から始めたい方は、BtoB Webサイト AI対応無料診断をご利用ください。
ご支援メニューとしては、①現状サイトのままの分析・打ち手抽出・実行の伴走、②AI接続環境への移行支援、③複数サイト・複数のGoogleビジネスプロフィールをAIハーネスに接続した一括分析・一括更新(CRM連携を含む)をご用意しています。セミナーでお話しした環境は、AI Web-tanとしてサービス提供しています。
次回セミナーのご案内
実体験をもとにしたセミナーを、今後も続けていきます。
- 8月28日(金)15:00〜: BtoBマーケティング施策を「AI駆動」で回す|戦略の実測設計から、実行のAIハーネスまで
- 9月4日(金): AI×CRM活用事例紹介|議事録・メール・チャットが自動でCRMにつながる現場の実例
いずれも無料・オンライン開催です。ぜひご参加ください。
よくある質問
AIクローラーの遮断設定を解除するとデメリットはありますか。
集客の観点では、現時点で大きなデメリットは考えにくいというのが当社の見解です。そもそも公開してはいけない情報はWebサイトに載せていないはずで、アクセス負荷も問題になる水準ではありません。ただし、サーバーやドメイン事業者の画面設定と、サイト側に書かれたコードの両方を確認する必要があります。
AI接続環境へ移行すれば、すぐに流入は増えますか。
いいえ。当社の実測でも、移行後約1ヶ月半の時点で流入は「徐々に」増えている段階です。検索エンジンやAIクローラーの学習期間、サイトの権威性に依存するため即効性はなく、運用工数もゼロにはなりません。中長期で伝えたいことをAIに理解してもらい、受注まで追える状態を作る取り組みです。
すぐに移行できない場合は、何もできないのでしょうか。
既存のサーバー・CMSのままでも、AIクローラー遮断やnoindexなど設定の見直し、データ分析にもとづく打ち手の抽出と実行の伴走は可能です。当社ではまず現状分析から入り、必要になったタイミングでAI接続環境への移行をおすすめする進め方をとっています。
