
2026年9月25日(金)、無料オンラインセミナー**「マーケ・営業のKPI管理を、スプレッドシートからWebダッシュボードへ ― GA・CRM・広告をAPI接続し、転記ゼロで『何が効いたか』まで見える化する」**を開催しました。
GA4や広告管理画面、CRMを順番に開き、数値をスプレッドシートへ転記して報告する。この作業を自動化できたら、担当者は何に時間を使えるでしょうか。本セミナーでは、当社が支援している匿名3社の事例をもとに、集客と営業のデータをつなぎ、施策の判断に使うまでの考え方をお話ししました。
本記事は当日の講演と登壇資料をもとに構成しています。紹介する3社は開催時点で設計・構築を進めている案件です。完成後の売上改善や費用削減を示す成果事例ではなく、課題と設計・運用の事例としてご覧ください。
開催概要
- セミナー名: マーケ・営業のKPI管理を、スプレッドシートからWebダッシュボードへ
- 開催日時: 2026年9月25日(金)15:00開始(告知枠15:00〜16:00)
- 形式: オンライン・参加費無料
- 主催・登壇: 株式会社etika 代表取締役 宮村 佳祐
転記をなくして、人が「見て判断する」時間を作る
冒頭でお伝えしたのは、次の3点です。
- 転記をなくす目的は、判断する時間を作ること。 データ収集や整理を自動化し、施策を考える余裕を生む。
- 数字はつないで初めて意味を持つ。 流入、問い合わせ、商談、成約を別々に報告する状態から、一連の流れとして確認できる状態にする。
- ダッシュボードは会議体とセットで運用する。 定例で数字を見て、やることを決め、次回に進捗と結果を確認する。
特にBtoBや住宅・建築などの高額商材では、最初の接点から成約までに半年、1年、あるいはそれ以上かかることがあります。今月のアクセスと今月の受注件数を並べるだけでは、受注したお客様がどの施策から入ってきたのかは分かりません。長い検討期間をまたいで、接点の履歴を残すことが重要です。
スプレッドシートでのKPI管理に起きていた5つの問題
支援先からは、「シートがたくさんあって、どこを見ればよいか分からない」「問い合わせは来るが、どの集客施策が寄与したか分からない」といった声がありました。講演では、現在の運用の課題を5つに整理しました。
- 転記の手間で確認頻度が落ちる。 複数のツールから数値を拾う作業が、定期的な確認の負担になる。
- 打ち手と結果が結び付かない。 記事公開、広告変更、メール配信のどれが数字の変化と関係したかを追いにくい。
- 管理していない指標の変化に気づけない。 決めた指標だけを見ると、別のページの急落や計測漏れを見落とす。
- 読み解きに時間がかかる。 表が分かれているため、全体の状況や目標との差を把握しにくい。
- 報告のための作業が目的になる。 数字を整えて説明するところで時間を使い切り、改善に手が回らない。
スプレッドシートでも履歴やデータ連携を設計することはできます。ただ、複数の媒体や長い営業プロセスを人の転記で追い続ける運用には負担があります。今回見直しているのは、数値・顧客の接点・施策の履歴をまとめて扱う仕組みです。
API接続で数値と施策履歴を集める
基本構成は、「データ源 → APIによる定期取得 → データと履歴の保存 → Webダッシュボード」です。
| 段階 | 集める情報・役割 |
|---|---|
| データ源 | GA4、Search Console、広告、CRM・SFA、MAなどにある数値や対応状況 |
| 定期取得 | 毎日・週次など、運用に必要な頻度でAPIからデータを取得 |
| 保存 | 取得した数値に加え、記事公開・広告変更などの実行日と内容を記録 |
| 表示・判断 | 目標との差、流入元別の有効問い合わせ、営業の進捗などを画面で確認 |
数値に施策履歴を重ねると、「2ヶ月前に追加した記事は、今どれくらい流入を生んでいるか」「広告を変更してから、有効な問い合わせはどう変わったか」を確認しやすくなります。単純な前後比較だけで因果関係が確定するわけではありませんが、次の打ち手を検討する材料が残ります。
また、データを集めることと、顧客単位でつなぐことは別の設計です。流入元の情報を問い合わせフォームからCRMに引き継ぎ、商談や成約と対応付ける仕組みがあって初めて、営業成果から集客の接点へ遡れます。
事例① 建築設計事務所:有効な問い合わせの流入元を見えるようにする
最初に紹介したのは、特定分野の施設設計に強みを持つ建築設計事務所です。KPIをまとめるシートと施策の検討会はありましたが、問い合わせにつながった媒体やページの履歴が十分に残っていませんでした。
そこで、次の4つの観点をつなぐ設計を進めています。
- 露出: 集客したいキーワードで検索結果に表示されているか、AIの回答に登場しているか。
- 流入分析: どの媒体から訪問し、どのページを経て問い合わせたか。
- タイミングの把握: 再訪や閲覧行動の変化から、検討度が高まった見込み客を把握できるか。
- 対応プロセス: 問い合わせの有効・無効、対応状況、次のアクションを確認できるか。

登壇資料で紹介したダッシュボードの画面素材。架空企業に置き換えたサンプルで、表示数値は支援先の実績や導入効果ではありません。
最上位に置くのは、問い合わせの総数だけではなく、営業対応につながる「有効な問い合わせ」の数です。営業メールなども含む総件数と、実際の見込み客を分けることで、集客の質を評価しやすくします。
講演では、フォームに流入情報を引き継ぎ、CRMに登録された見込み客と対応付ける仕組みも説明しました。これにより、商談・成約になったお客様について、取得できた初回接点や閲覧履歴を遡る設計です。

同じく登壇資料の画面素材。未計測の項目と実装後のイメージを含む、構築段階のサンプルです。
さらに、過去のマーケティングデータをもとにAIへ施策を相談する機能や、打ち手の優先順位・検証状況を管理する画面も計画しています。月2回の定例ミーティングで画面を確認し、判断と実行につなげる運用も一緒に整えています。
事例② 医療系サービス企業:分散したKPIとCRMを整え、週次で施策を決める
2社目は、医療系の人材サービス・SaaS領域の企業です。広告、セミナー、ブログなど複数の施策に取り組む一方、KPIのシートが分散し、何が受注につながっているかを逆引きしにくい状態でした。
この事例では、表示画面を作る前に、CRMのデータと営業管理の仕組みを整え、流入から成約までの記録を残せる状態にすることが課題になりました。元データがつながっていなければ、ダッシュボードを作っても見たい数値は出てきません。
そのうえで、毎週月曜日に確認するボードを用意し、AIによる分析と施策案をもとに、次の行動を決める運用を設計しています。広告キャンペーンの改善やブログの改修など、分析結果から実際のマーケティング施策へ進める環境も構築対象です。
資料では、自社チームがAIエージェントを操作する直接運用型を紹介しました。実行内容と結果を同じ環境に残し、次週の検証に引き継ぐことを目指しています。これらは開催時点で設計・構築中の取り組みです。
事例③ 住宅建築会社:広告・来場・成約の間にある断絶を埋める
3社目は、複数の支店や展示場を持つ地域密着の住宅建築会社です。来場履歴やアンケート結果を長期間、丁寧に記録していましたが、次の2ヶ所でデータが途切れていました。
- マーケティング接点から来場まで: 広告、LINE、チラシ、来場予約など、どの接点が来場につながったかを十分に紐付けられない。
- 来場から成約まで: 来場数と成約数は把握できても、時間を経て成約した個々のお客様を追いにくい。
ここで必要なのは、管理表の列を増やすこと以上に、施策や引き合いを識別するキーです。資料では、広告・LINE・チラシなどに共通のキャンペーンキーを持たせ、予約時点の流入情報を引き合いIDに紐付けて残す設計を紹介しました。
導入も段階的です。まずは既存のExcelとAPI取得を使って集計の手間を減らし、次に予約・来場・成約をつなぎ、その後に施策の検証やAIの示唆へ広げます。画面は支店別の閲覧権限を設け、自店と全社で必要な情報を分ける構想です。
Web上の行動だけでなく、展示場での来場やアンケートをどう記録するかまで含めて設計する。 この点が、住宅のように対面接点と長い検討期間がある商材で重要になります。
AIは、見落としていた計測の問題にも気づくきっかけになる
講演では、データを接続して分析する過程で、「ここはデータが取れていない」「特定のページだけ落ち込んでいる」といった問題が見つかることにも触れました。
当社の自社運用でも、フォーム送信の計測が実態に合っていなかったことや、ブログの検索クリック率の低迷を点検するきっかけになりました。決められたKPIだけを人が確認する運用では、管理対象の外側にある変化は見逃しがちです。
AIに取得データを広く点検させることで、異常や欠落の候補を探しやすくなります。ただし、AIの指摘は確認の入口です。原因の特定と、対処するかどうかの判断は人が行います。
ダッシュボードから、施策の実行と検証までをつなぐ
今回の中心はダッシュボードでしたが、当社自身の運用として、AIエージェントによるWebページの更新、ブログ追加、メール下書き、広告素材の作成・設定・改善も紹介しました。
施策を実行した記録と、GA4やSearch Consoleから取得する結果が同じ環境に残れば、「何をして、どうなったか」をAIとの対話でも確認しやすくなります。担当者が毎回すべてのツールを開き直す負担を減らしながら、改善の手数を増やしていく考え方です。
その際に繰り返しお伝えしたのが、会議体との組み合わせです。定例では、数値を報告するだけでなく、次の流れを回します。
- AIが集めた数値と分析を確認する。
- 人が施策の採否・優先順位・担当を決める。
- 決めた施策を実行し、日付と内容を記録する。
- 次回の定例で進捗と結果を確認する。
AIが分析できても、意思決定する場がなければ施策は動きません。誰が判断し、いつ結果を見るかまで含めて運用を作ることが大切です。
参加者からのコメント:Webダッシュボードを作る選択肢が広がった
当日は、参加者から「以前はLooker StudioなどのBIツールが多かったが、Webで簡単にダッシュボードを作れるようになったのは、コスト面でもよい」という趣旨のコメントをいただきました。
これに対し、宮村からは、AIを使ってお客様が見たい指標や画面を実装しやすくなったことが、ダッシュボード構築の選択肢を広げているとお答えしました。店舗別に区切る、目標との比較を見せるなど、実務上の要望に合わせて画面を作り、使いながら調整していくことがポイントです。
始める順番:指標の棚卸しから、会議で使う1画面へ
登壇資料では、移行の順序を次のように整理しています。
- 指標を棚卸しする。 売上につながるシナリオに沿って、見るべき指標と定義を決める。
- 取れるデータ源からAPI接続する。 接続できる範囲と、計測・CRM側の不足を確認する。
- ダッシュボードを1画面作る。 実際の定例会議で使い、判断に必要な情報を確かめる。
- 施策ログを数値に重ねる。 実行日・内容・検証方法を残し、顧客や施策をつなぐキーを整える。
- AIの分析と運用を広げる。 異常の点検、施策案、画面の改善へ進む。
データの置き場がない場合は、その整備から始めます。集客施策が少ない場合は、ダッシュボードの構築よりも施策を増やすことが先になる場合もあります。また、公開範囲・閲覧権限・更新頻度・指標の定義変更時の扱いも、最初に確認する項目です。
マーケ・営業のデータ活用をご相談ください
本セミナーでお伝えしたのは、数値の収集を自動化し、集客から成約までをつなぎ、人が判断して実行する時間を作るという考え方です。
当社では、ブラウザでダッシュボードや打ち手を確認するWebアプリ型のAI Web-tanと、自社チームがAIエージェントを操作する環境づくり・運用定着の支援をご案内しています。
「今のシート運用をどう整理すればよいか」「GA4とCRMのどこからつなぐべきか」といった段階でも、無料相談をご利用ください。Web集客の現在地を確認したい方には、BtoB Webサイト AI対応無料診断もご用意しています。
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よくある質問
APIで数値を集めれば、集客から成約まで自動でつながりますか。
データを集めるだけではつながりません。流入元の情報をフォームやCRMへ引き継ぎ、問い合わせ・来場・商談・成約を対応付けるキーと運用が必要です。
ダッシュボードはリアルタイムで更新されますか。
更新頻度は接続先のAPIや取得スケジュールによって異なります。本セミナーでは、毎日・週次などの定期取得で、人による転記を待たずに更新する設計を紹介しました。
マーケティング専任者やエンジニアがいなくても使えますか。
ブラウザで確認・判断するWebアプリ型と、自社チームがAIエージェントを操作する直接運用型を紹介しました。体制に合わせて選びますが、どちらも意思決定する担当者と定例で数字を見る場が必要です。
