リダイレクトとは、古いURLに来た人や検索エンジンを、新しいURLへ自動で案内する設定のことです。サイトをリニューアルしてURLが変わったとき、これを正しく設定しないと、旧サイトが検索で集めていた入口を失います。そして実際には、「設定していない」よりも「設定したが、案内先がずれている」ことのほうが見落とされがちです。

本記事は、当社が中小の金属表面処理加工業のサイトを調べたときに見つけた事例です。リニューアルの後、旧サイトの細かい技術記事やFAQが、中身の違う汎用ページやトップページへまとめて転送されていました。そのとき見つかった失敗の型と、同じことを自社で防ぐためのチェックリストをまとめます。なお、この事例で検索流入がどれだけ落ちたかは数字で確かめていないため、本記事では落ち幅は扱わず、転送先のずれと、それが入口を細らせうる理由に絞って書きます。

何が起きていたか

この会社の旧サイトには、お客様の具体的な疑問に1問1答で答える細かいページがたくさんありました。加工の可否を答えるFAQ、技術の解説記事、商品カテゴリごとの解説ページなどです。こうしたページは、具体的な疑問を検索した人がサイトを見つける入口になっていました。

リニューアルでは、新しいサイトの構成に合わせてページが整理され、旧URLには転送が設定されていました。転送の設定そのものはされていたのです。問題は案内先でした。リニューアルの翌月に、旧URLに1件ずつアクセスして実際の転送先を確かめたところ、中身の一致しないページへ転送されているものが複数見つかりました。

転送先を実測して分かった5つの失敗の型

見つかった転送のずれは、次の5つの型に分けられました。

#型例(内容を一般化)
1中身の違う複数のページが、同じ一覧ページへ集まる「ある加工ができるか」「その加工の工程」など、別々の質問ページが、すべて「よくある質問」のトップへ転送
2記事や記事一覧が、サイトのトップへ転送される技術解説の記事と、その一覧ページがトップページへ
3近い内容の新しいページがあるのに、汎用の一覧へ転送される特定の商品カテゴリの解説ページが、一覧へ。新しいサイトには、そのカテゴリをまとめた専用のページがあるのに使われていない
4似た分野の、別のテーマのページへ転送されるある技術解説のページが、名前の似た別テーマの解説ページへ(内容が一致する新しいページは別にあるとみられる)
5転送先がなく、行き止まりになる旧サイトの技術解説ページの1つが、どこにも転送されず消えていた

一般に、型1〜3は「とりあえず近いカテゴリーの入口へ」という考え方でまとめて転送すると起きやすく、型4は旧サイトと新サイトでページの名前や並びが変わったときに対応を1つ取り違えると起きやすい型です。型5は、対応表から漏れたページです。

旧URLの連番から見て、同じような個別記事は表に挙げたもの以外にも多くあったとみられます。確認できたのは、その一部です。

この事例のリニューアルがどう進められたかは、当社は把握していません。一般論として、新しいサイトの構成を先に決めて旧ページを当てはめていく進め方では、新しい構成に居場所のない細かい記事が「近いカテゴリーの入口」へ寄せられやすくなります。旧ページの数が多いほど、1件ずつ中身を見て転送先を決める手間も大きくなります。リニューアルの見積もりや作業範囲に、URLの対応表づくりが入っているかを、発注の段階で確かめておくことをおすすめします。

トップページへのリダイレクトは、なぜソフト404として扱われることがあるのか?

検索エンジンにとって、転送は「このページはここへ移った」という知らせです。ところが、具体的な答えが書かれていたページの転送先が、その答えの載っていない一覧ページやトップページだと、移った先に元の中身がありません。

Googleは、サイトの移転についての公式の案内で、多くの古いURLを関係のない1つのURL(新しいサイトのトップページなど)へ転送しないよう注意しています。そうした転送は利用者を混乱させ、「ソフト404」として扱われる場合があるとしています。ソフト404とは、ページは表示されるものの、実質的には中身が無いと判断された状態のことです。そう判断されると、検索結果に出にくくなる場合があります。

たとえるなら、引っ越したお店が古い住所に立てた案内看板です。看板が「新しい店の、この売り場へ」と具体的に指していれば、お客様は迷いません。ところが、

  • 中身の違う質問ページが、すべて同じ「よくある質問」の入口を指している
  • 一部の解説記事は、店の正面玄関(トップページ)を指している
  • 1つは看板すらなく、行き止まりになっている

という状態だと、探しに来た人は目当ての答えにたどり着けません。検索エンジンも同じように判断した場合、具体的な検索でそのサイトが出にくくなる場合があります。

サイトリニューアルでSEOの効果は下がるのか?影響を受けやすい入口

リニューアルをしたからといって、SEOの効果が必ず下がるわけではありません。下がりうるのは、転送や中身の引き継ぎが崩れたページです。この事例では、社名での検索や事業を表す大きなキーワードでの見つかり方について、大きな落ち込みは確認していません。ただし、数字での検証はしていません。影響は小さい可能性が高いと見ていますが、確かめるにはSearch Consoleでリニューアル前後を比べる必要があります。

影響を受けやすいのは、「この素材にこの加工はできるか」「この処理の工程は」といった、具体的な疑問で検索する人の入口です。1つ1つの検索の数は小さくても、数が多く、しかも疑問がはっきりしている人が来るため、問い合わせにつながりやすい入口です。

さらに、こうした細かい1問1答の解説は、ChatGPTなどのAI検索が回答をつくるときに参照しうる材料でもあります。検索の入口と、AI検索に拾われる材料を、同時に細らせることになります。AI検索で見つかるための考え方はLLMOとはで解説しています。

記事が残っていれば、復旧は速い

この事例には良い知らせもありました。転送の先がずれていただけで、記事の中身そのものは消えていなかったことです(当社が確認した範囲)。ゼロから記事を書き直す必要はなく、次の3つで取り戻せる見込みが高いと考えています。

  1. 旧サイトのFAQ・個別の解説記事を、もう一度1ページずつ独立した形で公開する
  2. 旧URLの転送先を、中身が一致する新しいページへ設定し直す(個別のFAQは該当する質問と答えのページへ、個別のカテゴリの解説は、そのカテゴリの専用ページへ)
  3. 検索エンジンやAIが内容を理解しやすいよう、FAQなどに構造化データ(ページの内容を機械に伝える目印)を付ける

どれだけ失ったかを数字にするには、Search Consoleで旧URLのリニューアル前後の表示回数・クリック数・検索語を比べます。あわせてGA4で、検索から来た人の入口のページ別に、リニューアル前後の段差を見ます。影響の大きいページが分かれば、直す順番も決まります。

記事を出し直したあとは、Googleに認識されているかも確かめてください。当社がAIで量産した記事で、公開翌日の点検まで見落としていた点は、AIで量産した記事がインデックスされないにまとめています。

移行前に作る「URL対応表」のチェックリスト

ここからは、これからリニューアルする会社が同じことを防ぐための手順です。要は、旧URLを全件洗い出し、1件ずつ転送先を決めた対応表を、公開の前に作ることです。

1. 旧URLを全件洗い出す

  • 旧サイトのサイトマップから、すべてのURLを取り出す
  • サイトマップに載っていないページ(古いFAQ、個別の解説記事など)を、Search Consoleの検索流入があったページの一覧で補う
  • 旧サイトがすでに消えている場合は、Wayback Machine(インターネット上のページを保存しているサービス)でリニューアル前のページを集める

2. 1件ずつ、中身の一致する転送先を決める

  • 対応表は「旧URL・旧ページのタイトル・転送先URL・転送先のタイトル」の4列で作る。タイトルを並べると、中身のずれに気づきやすい
  • 転送先は「その旧ページの答えが載っているページ」にする。カテゴリーの一覧やトップは原則として使わない
  • 新しいサイトにちょうど合うページがないなら、旧ページの中身を新しいサイトに移してから転送する
  • 複数の旧ページを1ページにまとめる場合は、まとめた先に元のページの中身が入っていることを確かめる

3. 対応表で避けるべき型を点検する

  • 同じ転送先に、中身の違う旧URLが何件も集まっていないか(型1)
  • 転送先がトップページになっている旧URLはないか(型2)
  • 転送先より近い内容の新しいページがないか(型3)
  • 名前が似ているだけの別テーマへ転送していないか(型4)
  • 対応表から漏れた旧URLはないか(型5)

4. 公開後、転送先を実際に確かめる

  • 対応表どおりに転送されているかを、旧URLに1件ずつアクセスして確かめる。件数が多ければ、ツールでまとめて転送先を取得する
  • 転送が何段も続いていないか(旧URL→別の旧URL→新URL)も見る
  • 公開から数週間〜数か月は、Search Consoleで旧URLの扱いと検索流入の推移を見る

5. 計測も同時に確かめる

リニューアルの日は、転送だけでなく計測も止まりやすい日です。公開直後にGA4で自分のアクセスとテストの問い合わせが記録されるかを確かめてください。手順はGA4のキーイベントは正しく数えられているかでまとめています。

リニューアルは「見た目」と「入口」を分けて考える

リニューアルは、デザインや導線を良くするには効果的です。ただし、旧サイトが長い時間をかけて集めた「具体的な疑問の入口」は、URLの対応を丁寧に作らないと、新しいサイトに引き継がれません。新しいサイトの見た目が良くなっても、来る人が減れば問い合わせは増えません。問い合わせが増えない原因の切り分けはホームページから問い合わせが増えない5つの原因で整理しています。

リニューアルの前後で検索やAI検索からの見つかり方がどう変わったか、計測が保たれているかは、BtoB Webサイト AI対応無料診断でも確認できます。

リニューアル前後の計測と検索の見守りは、マーケ担当AIエージェントでも承っています。

よくある質問

リダイレクトとは何ですか?301リダイレクトとの違いは?

リダイレクトは、古いURLに来た人や検索エンジンを、新しいURLへ自動で案内する設定です。301リダイレクトはその中でも「恒久的に移った」ことを示す種類で、サイトのリニューアルでURLが変わるときは基本的にこれを使います。ここで大切なのは種類よりも、どこへ案内するかです。

古い記事をトップページへ転送するのは、何がいけないのですか?

トップページには、その記事が答えていた具体的な疑問の答えが書かれていないためです。Googleは、多くの古いURLを関係のない1つのURL(新しいサイトのトップなど)へ転送しないよう公式の案内で注意しており、そうした転送は「ソフト404」(実質的にページが無い状態)として扱われる場合があるとしています。

複数の記事を1つにまとめた場合も、転送してはいけないのですか?

まとめた先のページに、元の記事の中身がきちんと入っているなら、そのページへ転送して構いません。Googleも、複数のページの内容を1つのページに統合した場合は、そのページへ転送してよいとしています。問題になるのは、元の記事の答えが載っていない一覧ページやトップへ転送することです。

旧サイトのURLの一覧が残っていません。どうやって洗い出せばいいですか?

3つの方法があります。旧サイトのサイトマップが残っていればそこから取り出す、Wayback Machine(インターネット上のページを保存しているサービス)でリニューアル前のページを集める、Search Consoleでリニューアル前に検索から人が来ていたページを抜き出す、です。Search Consoleを使うと、流入の多かった順に直す優先順位まで決められます。

サイトリニューアルでSEOの効果が下がったら、今から直しても間に合いますか?

リニューアルそのもので必ず下がるわけではなく、影響が出やすいのは転送先がずれたページや、中身が引き継がれなかったページです。記事の中身が残っていれば、転送先を直す、または記事を1ページずつ公開し直すことで、取り戻せる可能性は十分にあります。どれくらい戻るかはサイトや期間によって違うため、Search Consoleで旧URLのリニューアル前後の表示回数とクリックを比べ、影響の大きいページから直すことをおすすめします。

宮村佳祐

この記事の著者: 宮村 佳祐(株式会社etika 代表取締役)BtoBメディアとMAツール「リストファインダー」の立ち上げ・事業拡大を経て、ニッチな強みを持つBtoB中小企業の売れる仕組みづくりを支援。プロフィール詳細 →