GA4のキーイベントとは、問い合わせや資料請求など、事業にとって重要な行動として登録したイベントのことです。ただし、登録しただけでは正しく数えられているとは限りません。サイトの移行やフォームの埋め込み方によって、知らないうちに測れなくなることがあります。
これは他人事ではなく、当社自身の話です。2026年に当社が運営する2つのサイトを点検したところ、計測が止まっていた期間、問い合わせが1件も数えられていない状態、反対に「測れていない」と誤って判定しかけたケースが、すべて見つかりました。本記事では、その実例をデータの形のまま示し、同じことを自社で確かめる5つの手順にまとめます。
当社の2つのサイトで実際に起きたこと
当社は、コーポレートサイト(etika.life)と、Zoho導入支援のサイト(CRMサポートセンター)を運営しています。2026年10月にGA4のデータをAPIで見直したところ、次のことが分かりました。
| # | サイト | 起きたこと | 気づくまで |
|---|---|---|---|
| 1 | コーポレートサイト | リニューアル後、2026年7月18日〜8月13日の27日間、セッションが0件。計測タグ(GTM内のGA4タグ)が入っていなかった | 約1ヶ月 |
| 2 | コーポレートサイト | 問い合わせフォームがZoho Formsの埋め込み(iframe)で、送信がサイト側のGA4に届いていなかった。5月〜10月6日、GA4上のフォーム送信イベントとキーイベントは0件(問い合わせ自体はフォームのサービス側に届いていた) | 約5ヶ月 |
| 3 | コーポレートサイト | セミナー申込ボタンのクリックを、サイトのコードは送っていたが、GTMに受け口がなく0件 | 約1ヶ月 |
| 4 | CRMサポートセンター | サイト移行の日(2026年7月21日)の19時ごろから翌朝9時ごろまで、計測がほぼ途切れた。移行で計測タグが消えたのが原因 | 翌日 |
| 5 | CRMサポートセンター | 2年分のキーイベント207件がすべて timing_complete(滞在時間の計測によく使われる名前)だったため、「問い合わせが測れていない」と判定しかけた | — |
5番目は「測れていないのに気づかなかった」のではなく、その逆です。ページ別に見ると207件中199件がサンクスページ(フォーム送信後のページ)で発生しており、各ページの表示回数とも一致しました。名前が紛らわしいだけで、問い合わせは正しく数えられていました。 当社はこの判定を一度誤ったまま、セミナーの告知で「計測が壊れていた」と書いてしまい、2026年10月に訂正しています。数字の中身を確かめる手順がなぜ要るのかを、身をもって示す例になりました。
1は2026年8月14日に計測タグを入れ直して復旧し、2と3は2026年10月7日に直しました。2の直し方は、後半の手順3で説明します。
キーイベントが正しく数えられているか確かめる5つの手順
1. キーイベントの一覧を見る
GA4の管理画面で、キーイベントに登録されているイベントの一覧を開きます。確かめることは2つです。
- 問い合わせに当たるイベントが、そもそも登録されているか
- 作ったイベントが、登録されないまま残っていないか
当社のCRMサポートセンターでは、移行後に generate_lead(問い合わせ)というイベントを新しく作りましたが、キーイベントには登録されないままでした。GA4の初期設定で入る purchase や qualify_lead などは、発生していなければ数字には出ません。一覧にあることと、数えられていることは別です。登録の操作そのものは、Googleのヘルプ「イベントにキーイベントとしてマークを付ける」で確かめられます。
2. キーイベントが「どのページで」起きているかを見る
キーイベントの件数を、ページ(ページパス)別に分けて見ます。問い合わせのキーイベントなら、サンクスページで起きているはずです。
- サンクスページ以外で大量に起きていれば、別の行動を数えている可能性がある
- サンクスページの表示回数と件数がほぼ一致していれば、正しく数えている可能性が高い
当社がCRMサポートセンターで誤判定しかけたのは、イベント名だけを見て判断したためです。名前ではなく、どこで起きているかで判断してください。
3. 埋め込みフォーム(iframe)の送信が届いているか
外部のフォームサービス(Zoho Forms、Googleフォーム、HubSpotのフォームなど)を枠(iframe)で埋め込んでいる場合、フォームの中で起きた送信は、自社サイトのGA4には届きません。当社のコーポレートサイトの問い合わせが0件だったのは、これが原因でした。
当社は次の手順で直しました。
- 自社サイトにサンクスページ(
/thanks)を作る。検索結果には載せない設定にする - フォームサービスの「送信後の動作」で、このサンクスページへ移す。Zoho Formsでは「移動先」を「Webサイト」にし、開く場所を「親画面」にする
- サンクスページで
generate_leadというイベントを送る。枠の中で開いた場合は、親の画面ごと移ってから送る(二重に数えないため) - GTMで、このイベントをGA4へ送るタグを作って公開する
- GA4で
generate_leadをキーイベントに登録する - テストで1件送り、GA4のリアルタイムの画面で記録を確かめる
6でひとつ注意があります。GTMを公開した直後は、ブラウザに古いGTMが最大15分ほど保存されているため、すぐに試すと新しい設定が反映されていないように見えます。当社も最初のテストではイベントが出ず、時間をおいて確かめ直しました。
4. 日別のセッションに「0の谷」がないか
期間を半年ほどにして、日別のセッション数をグラフで見ます。アクセスがあるはずの期間に0が続いていれば、計測タグが動いていません。当社のコーポレートサイトの27日間は、このグラフを見れば一目で分かるものでした。それでも約1ヶ月気づかなかったのは、月次のレポートでしか数字を見ていなかったためです。
サイトのリニューアルや計測タグの変更をした日付を記録しておき、その前後を重点的に見てください。
5. 外部サービスへのリンクのクリックが記録されているか
セミナーの申込、予約、資料のダウンロードなどが外部のサービスで行われる場合、申込の完了そのものは自社のGA4では数えられません。せめて申込ボタンのクリックは数えておきたいところです。サイトのコードからクリックのイベントを送っていても、GTMに受け口のタグがなければGA4には届きません。当社のセミナー申込ボタンがこの状態でした。
なお、クリックの数と実際の申込の数は必ずずれます。申込の件数は、申込を受け付けたサービス側の記録を正としてください。
リニューアルでGA4の計測が止まらないようにするには?
計測が止まる事故の多くは、サイトを作り替えた日に起きます。当社の2件もそうでした。移行の作業手順に、次の3つを入れておくことをおすすめします。
- 公開の直後:GA4のリアルタイムの画面で、自分のアクセスとテストの問い合わせが記録されるかを確かめる
- 公開の翌日:前日の日別セッション数が、普段と同じ水準かを確かめる
- 公開の1週間後:前後1週間の日別のセッション数と問い合わせ数を比べる
リニューアルでは、計測のほかに検索からの入口(古いURL)が失われることもあります。リダイレクトで気をつける点はサイトリニューアルで検索の入口が細る原因にまとめています。
当社が採用サイトとコーポレートサイトで計測を分けた例は、求人を無料で掲載できる媒体の選び方に書いています。
GA4の設定を代行・外注するときは、何を確かめればいいですか?
GA4の設定を代行会社など外部に頼む場合も、本記事の5つの手順は、納品された設定を確かめるのに使えます。依頼するときは、「何を問い合わせとして数えるか」を自社で決めて伝え、納品時に次の3点を見せてもらってください。
- キーイベントの一覧と、それぞれが何を数えているか
- テストで送った問い合わせが、GA4に記録された画面
- 埋め込みフォームや外部サービスへのリンクを、どう計測しているか
GA4の設定だけでなく、流入元をCRMへ引き継ぐところまで通しで任せたい場合は、当社のマーケ担当AIエージェント ライト(GA4・流入元の計測プラン)でお引き受けしています。
キーイベントを数えられたら、次に何を見ればいいですか?
問い合わせを正しく数えられるようになったら、次は「その問い合わせが、どの流入元から来たか」をCRMまでつなぐ段階です。GA4は流入元ごとの傾向をつかむのに向いていますが、1件1件の問い合わせがどこから来て、商談や受注になったかは、CRM側の記録と結びつけないと分かりません。当社も2026年10月に、問い合わせフォームからCRMへ流入元の情報を引き継ぐ仕組みに切り替えました。考え方はリードソースを受注まで引き継ぐ設計で解説しています。
反対に、正しく数えた結果として問い合わせが少ないと分かった場合は、ホームページから問い合わせが増えない5つの原因で、どこが詰まっているかを切り分けられます。
検索とAI検索から自社サイトがどう見えているか、問い合わせの計測ができているかは、BtoB Webサイト AI対応無料診断でも確認できます。
よくある質問
GA4のキーイベントとコンバージョンは何が違いますか?
同じものです。GA4では2024年に「コンバージョン」が「キーイベント」という名前に変わりました。問い合わせや資料請求など、事業にとって重要な行動として登録したイベントを指します。Google広告側では引き続き「コンバージョン」という言葉が使われます。
埋め込みフォーム(iframe)の送信をGA4で数えるにはどうすればいいですか?
フォームのサービス側で、送信後に自社サイトのサンクスページへ移す設定にし、そのページでイベントを送ってキーイベントに登録するのが確実です。サンクスページが枠の中で開いた場合に親の画面ごと移る処理を入れておくと、二重に数えずに済みます。当社もZoho Formsでこの方法をとっています。
キーイベントが急に0になったら、何から確かめればいいですか?
まず日別のセッション数を見て、アクセスの計測ごと止まっていないかを確かめます。止まっていれば計測タグの問題、アクセスはあるのにキーイベントだけ0なら、フォームの転送設定かイベントの設定の問題です。サイトの改修や公開の履歴と日付を突き合わせると、原因の当たりがつきます。
GA4の設定は代行会社に頼んだほうがいいですか?
設定の作業自体は代行会社などに任せられますが、「何を問い合わせとして数えるか」と「数字が本当にそれを数えているか」の確認は、自社で一度は見ておくことをおすすめします。本記事の5つの手順は、外注先の設定を確かめるときにも使えます。
GA4だけ見ていれば十分ですか?
問い合わせの件数は、CRMやフォームのサービス側の記録と突き合わせてください。GA4は広告ブロックや同意設定で取りこぼすことがあり、件数がずれます。GA4は「どこから来てどこで問い合わせたか」、CRMは「何件来て、何件が商談・受注になったか」と役割を分けて使うのが確実です。

