Claude Codeとは、Anthropicが提供する、コードやファイルを読み、編集し、コマンドを実行するところまで任せられるAIエージェント型のツールです。ターミナル、IDE、デスクトップアプリ、ブラウザで使えます(Claude Code 公式ドキュメント:概要)。開発の道具として紹介されることが多いのですが、APIを呼ぶスクリプトを書いて動かせるので、マーケ運用の作業にも使えます。

当社(株式会社etika)は、自社のマーケ運用をClaude Codeで回しています。この記事では、その活用事例を、作業時間の計測や録画ではなく、残っている記録(Gitのコミット時刻・作業ログ・成果物)から紹介します。何をAIに任せ、どこで人が確かめているか、失敗して直した例も含めて書きます。

Claude Codeはマーケ運用の何に使えるのか?

当社でClaude Codeを使っている作業を一覧にします。詳しい手順は、それぞれの記事に書いています。

作業使っている道具・APIAIの範囲人の確認点詳しい記事
記事の制作と公開Git・GitHub、Search Console APIネタ出し、下書き、内容の点検、組み込み、公開後の点検ネタの採否、公開の承認、事実と匿名化の最終判断AIで量産した記事がインデックスされない
記事の挿絵Codex CLI(画像生成)設計書のプロンプトから生成し、記事に配置1枚ずつ目で検品Codexの画像生成でブログ挿絵を81枚つくった
広告の入稿Meta Marketing API設定ファイルから広告を停止状態で作る配信開始と予算—
リードのCRM・ウェビナー登録Meta(リードの取得)、Zoho CRM API、Zoho Meeting API15分ごとに取り込み、見込み客の作成と参加登録失敗の通知が出たときの手動登録リード獲得広告のリードを取りこぼさない
メルマガZoho Campaigns API本文・件名案を書き、下書きを作る宛先の件数、テスト送信、送信メルマガ作成をAIに任せる範囲
展示会のお礼Zoho CRM、Gmail名刺と会話の要約から、担当者のGmailに下書き送る・送らない、電話に回すか、送信展示会のお礼メールを翌朝までに下書きする
見込み客のランク分けZoho CRM API人が決めた判定順を当てはめ、理由を出す判定順の決定、書き戻しの承認リードスコアリングを点数でなくS/A/B/Cの4段階で
営業前の下調べ公開DNS相手のMA・メール基盤を推定承認した行だけをCRMへ書き戻す相手のMA・メール基盤をDNSで推定する
セミナー資料python-pptx、ヘッドレスChromeスクリプトで資料を組み、架空データの画面を撮る数字の丸め方と匿名化Claudeでパワポのセミナー資料45枚を作る
確認作業の集約台帳のWebページ改修案・記事案を並べ、選択肢とおすすめを書く承認・修正・保留の判定ヒューマンインザループの実例

共通しているのは、AIが作業を進めて承認の手前で止まり、人が確かめてから外に出す形です。施策ごとにどこで線を引くかの考え方は、マーケティングにAIエージェントを導入するにまとめています。

実例1:ブログ記事を、ネタ出しから公開後の点検まで回す

当社には、お客様の案件で残してきた記録(要件定義、検証メモ、不具合の調査など)が、80を超えるリポジトリにたまっています。2026年10月7日、これをClaude Codeで横断して読み、記事のネタを約120件抜き出しました。調べる作業は、Claude Codeから並行で動かす別のエージェントに分担させています。

そこから匿名で書けるものを選び、記事にして公開するまでの流れが、Gitのコミット時刻に残っています。

記録上の時刻コミットの内容
10月7日 19:43etika.lifeの記事1本目を追加
19:52・19:53案件横断の記事の下書きを追加(etika.life 10本・CRMサポートセンター 28本。点検前)
20:11内容点検(出典との照合・匿名化・表記の統一)を反映し、記事を追加
21:10検索数の実測にもとづくタイトル・説明文・見出し・FAQ・内部リンクを反映
21:19本番へ反映(マージ)
21:27・21:34公開後点検の1回目・2回目の指摘を反映
10月8日 06:26・06:34挿絵・記事別の案内・関連記事の指定を追加
07:40案内の行き先のずれを修正

10月7日のmainブランチへのコミットは、記事以外の改修やマージを含めて28件ありました。公開したのは、2つのサイトで計47本です。

各段階のあいだには人の判断が入っています。ネタの採否、匿名で書けるかどうか、公開の承認は人が決め、同じ日に改修案と記事案を並べた台帳では、担当者が34項目に52件の判断を返しました。表の時刻は、その判断も含めた記録上の時刻で、作業にかかった時間そのものではありません。

翌10月8日には、自社のマーケ運用を題材にした記事10本を10時51分に、柱になる記事を11時06分に公開し、11時22分に公開後点検の指摘を反映しています。この記事自体も、同じ手順の中で書いています。

一方で、翌朝の点検では、前夜に公開した47本が1本もGoogleに認識されていませんでした。記事単体の点検は重ねていたのに、見つけてもらう経路の点検が工程に無かったためです。この件はAIで量産した記事がインデックスされないに詳しく書いています。

実例2:広告・メール・ウェビナー登録をAPIでつなぐ

セミナーの集客では、広告・メール・ウェビナー登録をつないでいます。Claude Codeに書かせたスクリプトを、人が確かめてから動かす形です。

  • 広告の入稿:Metaの広告を、設定ファイルからAPIで作ります。最初は必ず試し実行(ドライラン)で内容を確かめ、作った広告はすべて停止状態にします。配信開始は別の操作に分けています
  • メールの下書き:セミナーの企画書や告知記事から、読者層ごとの本文を書き、Zoho Campaignsに下書きを作ります。送信の処理はコードに書いていません。宛先の確定と送信は、人が配信画面で行います
  • リードの登録:広告のフォームに入ったリードを15分ごとに取り込み、CRMの見込み客とウェビナーの参加登録を作ります。人の出番は、登録に失敗したと通知が出たときだけです

2026年9月のセミナーでは、広告から来たリード10件が、全件ウェビナーの参加登録につながりました。ただし、ここに至るまでに、手作業前提の取り込みが約1週間止まり、リードへの案内が最長5日遅れたことがあります。経緯はリード獲得広告のリードを取りこぼさないに書きました。

実例3:サイト移行・CRMの一括更新・資料づくり

2つのサイトの移行と、全ページの一括修正

当社は2026年7月に、コーポレートサイトとZoho導入支援のサイトを、ノーコードの作成ツールからAstroとCloudflareの構成に移しました。作業の多くはClaude Codeで進め、ページはGitで管理しています。当時のコミットにも、Claudeとの共同作業の記録が残っています。

移行してから、全ページに入っている相談の案内の文言を、記事ごとの文脈に合わせて差し替える作業を、AIへの指示2つで済ませた例があります。移行の経緯とつまずいた点は、2つのサイトを移行したセミナーのレポートにまとめています。転送の漏れ、画像の漏れ、計測タグの二重化など、公開後に見つかった問題もありました。

CRMの見込み客のランク分け

CRMの見込み客を、S/A/B/Cの4段階に分けています。判定の順番は人が決め、Claude Codeはそれをスクリプトにして当てはめ、理由を1行ずつ出します。結果は表で人が確かめてから、CRMに書き戻します。

セミナー資料

60分のウェビナー資料45枚を、python-pptxのスクリプト1本で組みました。お客様事例の数字の丸め方と匿名化のルールは、作り始める前に人が決めています。

人は何を確かめているのか?失敗して直した例

人が確かめているのは、大きく2か所です。外に出る直前(送信・公開・配信開始・CRMへの書き戻し)と、出したあとの結果です。後者は、次の失敗から足してきました。

  • メールの宛先:APIで指定した宛先の絞り込みが効かず、2通が同じ約2,100件の全員に届きました。APIはエラーを返していませんでした。いまは送信前に、人が配信画面で宛先の件数を確かめます
  • 太字の記号:記事本文で、かぎかっこを含む語を太字にした箇所が、本番で記号のまま表示されていました。書き方の規則上、そうなる組み合わせがありました。etika.lifeでは該当箇所を一括で直し、新しい記事は公開前に機械的に置き換える工程を入れています
  • 定期実行:リードを取り込む定期実行が、手動では動くのに定期では一度も動いていませんでした。原因はmacOSのプライバシー保護で、launchdの定期実行が動かないに切り分けの手順を書きました
  • 記事の中の数字:公開後点検で、記事に書いた実行回数がログの実数と合っていない箇所が見つかり、ログの値に直しました
  • 公開翌日の索引:前述の47本の件です。いまは公開後に、URLの索引状態をAPIで確かめています

AIは作業を速く進めますが、間違いも同じ速さで広がります。どれも、人が画面や結果を見て気づいたものです。

非エンジニアでも回せるか?始めるときに用意するもの

コードを書けることは必須ではありません。当社でも、スクリプトはClaude Codeが書き、人は差分と結果を確かめる役です。ただ、ターミナルでAIに指示を出すことと、Gitで変更を確かめて承認することは、誰かが担う必要があります。

始めるときに用意したいものは4つです。

  1. 作業ごとの手順書:Claude Codeでは、手順をまとめたものを「スキル」として持たせられます(Claude Code 公式ドキュメント:スキル)。当社は、メールの下書き、記事の公開、挿絵の生成などをスキルにしています。この記事を書いた手順もその一つです
  2. 決めたことと落とし穴のメモ:「送信はしない」「この組織IDは別物」といった決定や失敗を、次の作業でAIが読める場所に残します。当社のメモは100件近くあります
  3. 承認の置き場:確認待ちの項目を1か所に並べる台帳です。任せる量が増えるほど要ります
  4. 必要な分だけのAPI権限:権限で止められない操作(当社の配信ツールでは送信)は、処理を書かないことで止めます

仕組みの設計の考え方は、AIハーネスとはで解説しています。当社は、自社で回しているのと同じ形の環境を、お客様のGitHubリポジトリに作る支援もしています。

この記事の記録について

この記事の時刻は、Gitのコミット時刻です。作業を始めた時刻や、作業にかかった時間ではありません。コミットとコミットのあいだには、人の確認や承認、ほかの業務が挟まっています。そのため、時間がどれだけ短くなったかは書いていません。

件数(記事の本数、リードの件数、メールの宛先数など)は、公開済みの各記事に書いた値と同じです。それぞれの条件と時点は、リンク先の記事に書いています。

チェックリスト:Claude Codeをマーケ運用に使う前に

  • 最初に任せる作業を、外に何も送らないもの(数字の取得と並べ替えなど)から選んだ
  • 送信・公開・配信開始・CRMへの書き戻しは、人が確かめてから行うと決めた
  • 権限で止められない操作は、処理を書かないことで止めると決めた
  • 作業ごとの手順書(スキル)と、決めたことを残すメモの置き場を作った
  • APIキーなどの秘密情報を、環境変数に置き、Gitで管理しない設定にした
  • 作業の経過を、Gitのコミットとして残す運用にした
  • 自動の連携に、失敗したときの通知を付けた
  • 公開や送信のあとに、結果を確かめる点検(索引・宛先件数など)を入れた

まとめ

Claude Codeは、APIを呼ぶスクリプトを書いて動かせるので、マーケ運用の作業にも使えます。当社は、記事の制作と公開、挿絵、広告の入稿、メールの下書き、リードの登録、CRMのランク分け、資料づくりまでを回しています。

回し方の要点は、AIを承認の手前で止めることと、作業の経過を記録に残すことです。記録があるので、この記事のように、何をいつしたかを後から示せます。失敗もそのたびに記録し、人が確かめる場所を足してきました。

自社のマーケ運用をClaude Codeで回せる形にしたい場合は、Claude Code導入支援(マーケ担当AIエージェントの直接運用型)のページをご覧ください。当社が自社で使っている環境の実物をお見せしながら、ご説明します。

よくある質問

Claude Codeはエンジニアでなくてもマーケに使えますか?

コードを書けることは必須ではありません。ただ、ターミナルでAIに指示を出すことと、Gitの基本操作(変更の確認・承認)を担える人が社内に1人いると回しやすくなります。当社でも、コードはClaude Codeが書き、人は差分と結果を確かめる役に回っています。

Claude Codeでマーケの何を自動化できますか?

APIや公開データで扱える作業の多くです。当社では、記事の下書きと点検、広告の入稿、メールの下書き、広告リードのCRM登録とウェビナー登録、見込み客のランク分け、Search Consoleのデータ取得などを回しています。送信・公開・配信開始は自動にせず、人が確かめてから行っています。

顧客情報やAPIキーは外に出ませんか?

当社では、APIキーなどの秘密情報は環境変数のファイルに置き、Gitで管理しない設定にしています。作業の記録を残すリポジトリは非公開です。記事や資料に載せるときは、お客様の社名・数字を外す匿名化のルールを手順書に書き、公開前に人が確かめます。AIに読ませたデータの扱いは、利用する契約条件と自社のルールで確かめてください。

CodexやChatGPTとどう使い分けていますか?

当社では、作業の組み立てと実行はClaude Codeで行い、記事の挿絵の画像生成にはCodexのCLIを使いました。Claude Codeから、Codexを非対話で動かすスクリプトを呼び、5並列で81枚を作っています。道具は作業ごとに選び、記録は同じリポジトリに残しています。

Claude Codeの活用事例を自社で試すなら、何から始めればいいですか?

外に何も送らない作業から始めるのがおすすめです。たとえば、Search Consoleや配信ツールから過去の数字を取ってきて並べる作業です。間違えても困らず、AIに任せる手順書を育てる練習にもなります。下書き、連携の順に広げていきます。

宮村佳祐

この記事の著者: 宮村 佳祐(株式会社etika 代表取締役)BtoBメディアとMAツール「リストファインダー」の立ち上げ・事業拡大を経て、ニッチな強みを持つBtoB中小企業の売れる仕組みづくりを支援。プロフィール詳細 →